<2018/5>きっかけは、甲斐大泉の先輩の別荘訪問でした
今まで自分が別荘に暮らすなんて微塵にも考えたことはありませんでした。まるで縁のない世界のことでした。林住期とも無関係でした。
退職して年金老人となって、フツーに今までのように適当に暮らしていました。
それがある出来事が起点となり、全く別の暮らし方が出来るのかもしれないと考えるようになったのです。
草刈り奉仕隊での別荘見学会
退職後に始めた地元での趣味のテニスサークルの先輩が八ヶ岳のふもと山梨県の甲斐大泉に廃屋別荘を持っていて、仲間で草刈り奉仕隊としてお邪魔する事になりました。
先輩曰く「親の代に建てたものでもう何十年も使ってない」という恐ろしい代物です。
もちろん倒壊の危険があるので家屋内に足は踏み入れられません。
使えない別荘ですが、年に何回かの手入れは必要とのことで、作業は建物周囲の雑木林の伐採や草刈りでした。
2018年の5月のことでした。
これが思わぬ展開となり、別荘開眼となったのです。
ち、近い! 先輩のお住まい近くの国分寺駅で集合・出発後、正味2時間で来れました。中央道長坂インター下りて20分。 あっという間に着いた。
小海線の駅からもそれほど遠くはないです。
そして草刈り作業終了後に、
折角なのでついでに同じ地元別荘地開発業者の◯郷のすぐ近くの空き物件を見せてもらいました。
近所のレストランに物件の鍵が預けてあるらしいです。家の中も見れました。
や、安い! エーっ、600万! 傾斜地で前に高い木がなく明るくて眺望が素晴らしい。
(ただ、この頃はどこが南アルプスなのか全く分かりませんでした)
もうオーナーさんは引き払っていて中はがらんどうです。
ウッドデッキはかなり腐っていますし、ボイラー、天井などは修理は必要ですが、心が動きました。
メラメラ火が点きました。
このぐらい出せばここに住めるのか、これは夢じゃないな、と。
幸いなことに、退職金はまだだいぶ残っています。
別荘暮らし、田舎暮らしがにわかに現実味を帯びてきました。
草刈り奉仕を終え帰ってからは銀行の残高を調べ、真剣に大泉周辺の物件探しを始めました。
もちろんGoogleでのネット検索です。この期間が約1年ほどありました。
物件探しを始めました
二地域居住ならアクセス最優先
さて、先輩の八ヶ岳南麓・甲斐大泉の別荘(厳密には、そばの空き別荘)を見てしまったので、地域は八ヶ岳周辺と決めていました。
他には那須とか伊豆とか軽井沢などを考えたこともありました。
しかしやはりまずはニ地域居住です。
せっかくの年金暮らし、サンデー毎日、毎日が日曜日です。夏休みとゴールデンウィークに行くだけの単なる別荘ではなく、それこそ、1年の半分は行ったり来たりしてそこで住もうと考えていました。
完全な移住、定住はその先ですね。
そうなんです。今から思い直してみると、ホント、(管理別荘地の)中古別荘を探していて良かったと思います。
これも先輩の大泉の廃屋別荘見学会のおかげだと感謝しております。
これが、いま流行りの古民家とかポツンと一軒家などを探して予算内で安いからとそれに飛びついてしまっていたら、今頃は移住よくある悲惨な結末となっていたのかもしれません。
もしくは破綻とまでは行かなくとも相当な努力と忍耐を要する、理想とは大きく違った生活になっていたのではないでしょうか。
当時はそこまで深くは考えていませんでしたが、結果的には移住のソフトランディングとして別荘地の物件の選択は大正解でした。
実際にこちらに来てみると、ご近所付き合いが絶妙の距離感です。
お話を聞いた先輩方も皆、それを口にします。やはり夏利用の方が多いのですが、定住されている方も結構多いです。また年齢的にもお仕事はリタイアされていて、土日祝日に限らず、好きな時に別荘を利用されています。ほぼ同世代の方が多く、非常に気が楽です。
さて、本来の「林住期」であるならば、現在の住まいを捨てて森林に隠棲に行くのですから、北海道でもカナダでもニュージーランドでも良いわけです。もう東京と行き来する必要はありませんから。
作家の桐島洋子氏は50歳で林住期の始まりと同時に、ヴァンクーヴァーに別荘を衝動買いしたと述べています。彼女の場合はリッチですので、日本とカナダを行き来していましたが。
しかし未熟者でお金もないわたしはそこまでの踏ん切りが付きません。軸足が自宅になるか別荘になるかはその時の状況次第ですので、東京に自宅を残したままの軽い気持ちで仮の移住先を探します。
北海道では好きなスキーが思う存分できるでしょうが、東京へのアクセスが飛行機となることを考えると躊躇します。
伊豆方面は冬が暖かくていいですが、私は冬はスキーです。伊豆からだとスキー場までは自宅からよりもさらに遠くなってしまいます。そして雪の日の薪ストーブに憧れていますので冬は寒くてもかまいません。
なにより自宅からのアクセスが最重要です。
遠くては出かける気にもなりません。幸い自宅は中央道国立・府中インターからは10分。関越道、常磐道、東北道など他の地域は却下し、中央道からのアクセスで調べていきました。
元の会社の同僚が茅野の緑の村に住んでいるのですが、やはり運転は2時間を越えるとつらくなります。蓼科も遠いです。一応近場の河口湖、山中湖も当たってみました。
車がダメでも
もちろん自分の年齢も考え、あと何年車を運転できるか、免許返納はいつにするか?
あの池袋の母子の悲惨な事件の記憶が生々しいので真剣に考えています。
晩節を汚すことは絶対に嫌です。
90は論外としても、でも70代までは大丈夫ではないか?まわりの先輩方を見ているとそう思えます。
するとそれ以降は地元でちまちま乗るだけの中古の軽トラか、普通免許で乗れる原付一種のフル電動自転車に変えようとも考えています。
その点、中央道圏では、並行して走っているJR中央線の利用が可能です。
自宅の国立からは隣の立川駅から特急「あずさ」に乗れます。
小淵沢まで1時間33分です。80歳でも大丈夫でしょう。
それに特急でなくても十分いける、鈍行列車で車窓から八ヶ岳と南アルプスを眺め、のんびり缶ビールを飲んでいると2時間半でもう着いてしまいます。
また高速バスでも可能です。新宿バスタから2時間ちょいで長坂・高根に着きます。
行程の大部分を電車や高速バスで行ければ、ラストワンマイルは如何様でも大丈夫でしょう。
そこで駅からの距離も調べました。駅から徒歩で行ければ最高です。
バスは通っているか、駅前からタクシー利用はできるか、重要です。
新宿からの高速バスも小淵沢、大泉や清里、野辺山まで来る便もありました。
林住ならログハウスと薪ストーブ
地域が絞れてきたら具体的な中古物件を不動産情報から集めていきます。
土地ではなく建物付きです(すいません、はなから新築は考えに入れておりません。予算の点で問題外としております)。
その中で私が譲れないのは、ログハウスと薪ストーブです。
折角、林の中に住んでも普通の木造モルタル住宅では悲しいです。自宅に居るのと何も変わりません。
家住期を終えて、林住期に飛び込んだのでしたら気分を一新、非日常に浸りたいです。
森や林の中で、戸を開けば木の香りのするログハウスでの山小屋暮らしが憧れでした。
そしてログハウスとセットで語られるのは薪ストーブです。
暖炉はあまり実用的ではありません。見かけは立派なイミテーションで中にガスや電気ストーブの火が揺れている写真を見かけますが却下です。
薪ストーブと煙突を後付けで造るとなると莫大な費用がかかります。
物件情報の中には価格の点や築年数、外観、間取りなど好条件なのですが、薪ストーブがないので断念したものもありました。
ネットの不動産物件の検索はどんどん進化していて、ユーザーの希望条件に沿った検索の絞り込みが出来ます。
「暖炉・薪ストーブ有無」のチェック項目がある検索条件まであります。
私はログハウスは必ずチェックを入れて、金額は1000万円を上げたり下げたりしていました。
もちろん薪ストーブは様々なデメリットもあります。
まず一番は、全てに面倒です。
薪が高い。薪割りが大変。薪棚が必要。暖まるのが遅い。点火後もしばらくストーブから目が離せない。灰の捨て場。煙突掃除。屋根に上がるか。維持管理が半端じゃないです。
でもそれらがまとめてかかっても、薪ストーブのオレンジ色に揺らぐ炎を見て、パチッパチと薪のはぜる音を聞いてしまえば、敢えて不便を選ぶことで心の癒しを得られる喜びには替えられません。
薪ストーブがある別荘なら大体冬仕様になっています。
二地域居住であれば、冬の暮らしの備えも大切です。
もしこれが避暑地の高原別荘ですと、夏しか利用しないオーナーさんも多く、その建物は冬にはとても住めません。
雨戸もカーテンも暖房器具もなく、窓もペアガラスではない物件が多いです。
清里の森にもそのような別荘も多いですので、移住や二地域居住を考えて探す際は注意が必要です。
その点煙突のある建物ならほぼ安心です。
さて中古別荘を探していきますが、30cmもの大径の丸太ログの家は垂涎ものなのですが、このクラスですと私の手の届くものではありません。
いくら中古といっても2000万前後はします。
ハンドカットの丸太ログハウスは見た目も豪壮で立派ですが、大工さんの技次第では色々な箇所のログの隙間に新聞紙を丸めて詰め込んでいるお宅を見学したこともあります。隙間があるのでしょうか。冬は大変です。
その点マシンカットの角ログは機械で製材されていて直線の組み合わせとなり隙間は少ないようです。見た目の豪華さは無くなりますが、価格的には私の手の届く範囲に収まります。このあたりで多少は妥協しながら物件探しは続きます。
なお、ログハウスで新築の場合は築後数年間はセトリングといってログ材の壁が重みで沈んでくる現象が避けられず、ドアや窓に不具合の出ることもあり、その調整が必要となります。
その点、中古物件で10年以上経過していれば、そのログ壁の沈下も落ち着いているので安心です。
そのほか、リフォーム不要というのも重要です。物件の中には、屋根が傷んでいて、葺き替えが必要の物も多いです。
築30年ものでは要確認です。すぐに住めないし、最低でも200万から300万の追加予算となります。
不動産情報の中にはきちんとその旨明記されているものもありますが、怪しいものもあります。
管理別荘地が安心です
不動産物件で中古別荘を探す際に注意するのは、その別荘が管理別荘地内の物件か、そうではないのかという点です。
前者は、規模の大小は様々ですがデベロッパーが土地開発を行い分譲別荘地として販売し、販売後は別荘地の整備や環境保全などの管理を行い、入居者からは管理費や修繕積立金などを徴収するものです。
大手では「三井の森」「東急リゾート」などが手がけている別荘地です。
小規模地元業者の場合は、販売後に倒産してしまったり、管理が杜撰で手抜きがあったりする危険性もあります。
最初私は、後述する甲斐大泉の先輩が、◯郷というこの近辺では大手の別荘開発業者の別荘地で、今は利用しないので管理費を払っていないために揉めている、と聞いていたので管理費の要るところは嫌だなと敬遠しておりました。
しかし、いろいろ物件をみて、現地で下見してからは、管理がしっかりされていれば管理別荘地は安心であることがわかりました。
管理費は必要なコストであり、それによって面倒なことが起きません。
当然ながら、周囲の家は別荘であり、そこに住む人たちはその別荘地の住人で、似通った環境の人達が多いのかもしれません。
入居後も人間関係はスムーズに行くようです。
後者はそのようなデベロッパーが入っていないで、個人が普通の土地を購入して家屋を建てて住んでいる場合です。
周辺に別荘が多く、別荘地の雰囲気であっても、管理会社がない場合は管理別荘地ではありません。
当然管理費などは発生しません。
この場合、注意したいのはゴミと除雪です。まれに水道が共同井戸であったりする場合もあります。この辺はしっかり不動産屋さんにどうなっているのか確認しておきましょう。
ここで別荘として、年に数日利用するだけであればまだいいのですが、移住・定住や二地域居住をしようとすると厄介な問題が出てきます。
そこの地域に以前からお住まいの人達との関係です。これについてはかなり重いテーマですので、別途考えてみたいと思います。
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