夏は、ハチだ!

森に暮らして
この恐ろしい顔の模様は何とも言い難いです。スズメバチにも数種類あるそうですが、こいつは?

スズメバチとの闘い始末記

迂闊にもサインを見落とした! (後悔)

意気揚々と森に帰還

東京では母と共に4回目コロナワクチンを打って、参院選期日前投票した翌日に帰って来たのですが、その日、東京では奈良の事件でマスコミが騒然となる中、割と高速は順調で2時間で清里の森に帰って来ました。午後3時半でした。

 やれやれ、帰って来たぞ、さすがに涼しいです。いいなー。

私が襲撃されました

 山小屋駐車場の前の方、玄関の階段近くに車を止め、階段に足を掛けようとしたその時、激痛が左手に走ります。何が何だかわからない中、左前腕を無意識で払うと頭上に数匹の蜂が旋回しています。その3秒後、階段の途中で今度は右足踵に激痛、2発目です。これはヤバい!直ぐ姿勢を低くして車まで戻りました。

 同乗の母に、今はまだ車から出ずに、車内で待っていてくださいと伝えます。万一母が攻撃を受けたら即死するんではないか。何せ96歳ですから。コロナワクチンを4回打っても副反応も出ずにピンピンしていますが。

 左腕がジンジン痛みますが、刺されたと思しき所をつまんで毒をひねり出します(出たかどうかはわかりません、気持ちです)・(追記:ハチ毒は水に溶けるので、この時流水で洗うと良いと言われています、後でわかったのですが)。
 腕を押さえ激痛に堪えていると、運悪く、宅配便のドライバーさんが駐車場の後ろの方に軽トラを止めて、心配そうな顔で私に箱を手渡ししてくれました。なに買ったんだっけ?

 外は危険なので、再度、秒速で階段を駆け上がり玄関内に入りました。
中から玄関をそっと開けて階段下の様子をみると、数匹がまだブンブン旋回しています。その中で、地上数センチを低空で飛行する2匹は、ナント駐車場の枕木の穴の中に出入りしているではありませんか。

原因はこれだ!

我が山小屋の駐車場は先代オーナーが、古枕木を一面に敷き詰めて4台分を作った立派なものですが、何せ数年手入れせず放置され、落ち葉が堆積し、土の中に埋まり草が生え茂って、枕木はかなり腐食してしまい、内部が腐って空洞化しているものも多いです。物によってはほとんど傷んではいないような元気なものも何本もありますが、これも個体差が大きいです。

その玄関階段から駐車場に降りた1m先の枕木に、5cmほどの穴ぼこが空いており、ここに巣があるようです。ネットで調べると、スズメバチの巣はとっくり型とありますが、まさか枕木の空洞の中にとっくりを作っているのでしょうか? 

ともかく私の留守中に許可無く玄関階段下枕木内空洞に巣を作り、東京から戻った私たちを、巣を襲うものと見なし(誤解なのですが)て攻撃してきたわけです。不埒千万なり。

中央の白っぽい枕木の穴(巣の入り口)の周囲に黄色と黒のまだら模様が4匹います。(2022/7/8)

反撃開始

 玄関内にあったウィンドブレーカーを着て帽子を被り、長靴を履いて、そっとウッドデッキの方に回って、棚からジャンパーと防塵ゴーグルとワークマンの分厚いゴム手袋をおろしてさらに着込みました。
 テレビに出てくる蜂の巣駆除のプロの業者のような完璧なものではありませんが、取り敢えず鼻と口以外は露出する部分はないので、90点でしょう。今思い返すと、タオルで鼻と口を覆面しておけば完璧でした。私の髪の毛は黒色ではないので安全ですが、一応フードを被り帽子も被りました。

ウィンドヤッケにさらに綿の厚手ジャンパーを着込み、これなら針は貫通しません、流石に暑い。

右足踵は厚めの靴下の上からの攻撃でやられたのです。左手は、東京は暑かったので、半袖Tシャツでした。無防備でひとたまりもありません。
さらに、地下室倉庫よりキンチョールを持ち出し、ホウキを抱えて現場に近づきました。

 階段下を旋回している蜂にキンチョールを噴射し、ホウキを振り回しましたが、彼らは全くひるまずさらに友軍を従えこちらに攻撃を仕掛けてきます。とりあえず退散、ある程度下がって巣穴から遠ざかれば、彼らも追っては来ません。
作戦を考えました。これでは母は車から出られず家に入れません。
アリの薬はあるが、ハチの薬はない。

とりあえず作戦

周りを見渡すと、入居当時、腐ったウッドデッキの上に被せて一時的に(と言っても1年半)、その上を歩けるようにした時に使った合板がありました。1/3のサイズにカットしてあるので、簡単に持ち上げられます。よし、こいつをあの巣の上にかぶせてしまおう、と決意、実行しました。
取り敢えず作戦です。

階段の上から、合板をエイヤッと投げて、うまく穴の上に落として乗せました。おー、やったね。
巣穴を塞がれたハチども数匹は上空をウロウロしております。
これでしばらくは落ちつかくと思いきや、すぐに合板の縁からハチが出て来ちゃいました。
駐車場の枕木は、今では一本一本高さがバラバラになってしまい数センチの段差が生じているので、合板をかぶせても入口の穴をピタッと塞ぐことができず、その隙間からハチ君たちは外界に出られるんだ。残念也。

焼夷作戦

次の作戦は焼夷作戦にします。
ちょっとベトナム戦争時代の米軍を思い出し、残酷な気もしましたが、止むを得ずです。
プロの業者もやっている方法だと自分に言い聞かせます。
焼き払うのです。

地下倉庫に、壊れた石油ストーブを廃棄するためタンクを空にした際に抜いた灯油がペットボトルに保存してあります。これはキャンプファイヤー時のトーチ着火用にも使えます。
防護服に身を固め、灯油入りペットボトルとライターを手に巣穴にかぶせた合板に近づき、さっと灯油をばら撒きます。
ボトル半分、500ccほど撒いてライター点火、直ぐボッととは火がつかず、あれっと思うひと呼吸があって、着火しました。あとはさっと火は全面に拡がっていきました。2m四方ほど、駐車場の枕木(の表面)が燃えています。

 ハチたちは火や煙はお嫌いなようで、あたふた右往左往という感じで、犯人の私に攻撃をかける余裕もありません。
 そのうちに合板そのものも燃え始めたので、慌ててそこは長靴で踏み消しました。
火が下火になって来たので、今度は巣穴の中に残りの石油を注ぎ込んで着火、これは穴から炎がゆらゆらと立ち昇っていました。この炎を見ているときは、してやったり、と得意になって意気軒高でありました。

枕木上に散布した灯油が燃え尽きたあとに、巣穴に更に灯油を注ぎ着火しました。穴から炎が立ち昇っています。

勝敗は決しました

1、2分で勝負はつきました。今度は我が軍の完勝です。巣の中にいたハチは全員お陀仏(のはずです)。
火が消えたら、穴の中にバケツ一杯の水を注ぎ込みました。安全対策兼水没作戦でもあります。

残兵が残っていましたが

その後、出張中だったハチたちが次々に巣に帰還して来ました。
やはり巣穴のすぐ数センチ上空をブンブン旋回しています。これは彼らとしては、もうパニック状態で、どうなんてんだ?俺たちの巣は?と頭真っ白、無防備で飛んでいるわけです。

そこを私が、ホウキでバタンと一撃で仕留めることができます。空中戦の場合は、やたらホウキを振り回しても撃墜する可能性はゼロに近いですが、これは50%は仕留めることができます。上から下方へ(枕木の巣穴跡へ)に向かって振り下ろすので20cmほどの幅のホウキからは逃れることはできません。とはいえこちらもヨイヨイのじいさんですので手許が狂うことも多く、一撃、二撃、三度、四度とホウキを叩きつけるため、ついにホウキが折れてしまいました。
2本目のホウキで掃討作戦続行します。

こうして、焼け焦げた枕木の巣穴の周囲には気の毒な残兵のムクロが4つ5つ転がっているのを眺め、今日の戦いが終わりました。

反省と勉強

刺された左前腕には針の痕が。だいぶ腫れてきています。すでにAppleWatchのバンドは2cm拡げています。

実は、今回東京に行く2、3日前に、偶然駐車場の枕木の穴に蜂が入っていくのを目撃しました
ホー、あんな穴に蜂が入るんだ、と感心して見ていたことを思い出しました。

その時に、巣を作っているんだから早く駆除しないと大変なことになるぞ、と気づくべきでした
まあ、なんの知識も無い、ノーテンキなじいさんでしたから仕方ありません。

本来は行政が対応してくれるが、、

 特に夏のスズメバチは危険なために、素人が手を出すとアブナイので、行政に連絡すれば、専門の駆除業者に対応してもらい、費用は行政が負担することが多いようです(例:船橋市、市のHPにとても親切に情報が載っています)。また半額補助というところもありました。
ところが、北杜市HPにはいくら探してもそのような役に立つ情報は載っていません。北杜市のネット検索では、駆除業者の広告がずらずら並んでいるだけです。どうしてなのか、誠に残念です。
北杜市民ならそんなのは自分でやれっ、というお考えなのでしょうか・・・

勉強しました

スズメバチの巣は、アシナガバチのようにハニカム状の巣がぶら下がって見える形状ではありません。徳利やフラスコ型とも言われるようなマーブル模様の外被に覆われた球形の巣を閉鎖された空間に作ることが多いようです。
土の中、木の穴、木の根、床下、天井裏、戸袋の中、逆さに置いた植木鉢の中、軒下などが多いとのこと。
 まさに我が山小屋駐車場枕木の穴の中は最適。

梅雨前の段階ならば、女王蜂一人で巣作りをしていて、毒針を持った働き蜂はまだ幼虫なので攻撃される危険性は低く、この時なら駆除は比較的容易で市販の蜂駆除スプレーを日没後(ハチのお休みタイム)に噴射すればOKのようです。

実際、この森のご近所さんも、ウッドデッキ下に出入りする蜂を発見して、ホームセンターで、5mも殺虫液を飛ばすスプレーを購入して無事駆除されたとのこと(キンチョールではダメです)。

黒はダメ!

 ハチは、黒い色の洋服、髪の毛に対して興奮して攻撃するそうです。
黒い長靴や、首から下げた黒いカメラにまで攻撃をかけてくると言います。一説には、蜂の天敵、熊だと思っているとも、、、
 事件当日東京は暑かったので、半袖Tシャツでしたが、紺色かな、黒では無かった。髪は白髪で問題なし。以後私は外の仕事の際は、極力、白っぽいシャツを着るように心がけています。

 またご近所の大先輩には、ハチに2回刺されると死ぬぞ、と脅かされました。わっしは今回二度刺されたがまだ死んでないけど、どういうこと??と思っていろいろ調べましたら、残念なことが判明しました。ここでうんちく。

うんちく披露
アナフィラキシー

蜂の毒液に含まれるアレルゲンによるアレルギー反応で、刺された箇所に痛みや腫れ、かゆみなどの局所症状が見られます。
これは数日程度で解消します。

私の場合、腫れもひどかったですが、とんでもない痒みには参りました。もう翌日から1週間以上も腕や足をポリポリ掻きむしりました。液体ムヒにもお世話になりました。
今回私はこの局所症状だけで済んだので助かりました。

 しかし、顔のむくみ、全身のじんま疹、寒気、嘔吐、呼吸困難(ヒューヒュー、ゼーゼー)などの重い全身症状(アナフィラキシー)が起こるケースもあり、更に重篤な意識障害(呼び掛けに応じない)や急激な血圧低下が起こる(アナフィラキシーショック)と危険で、最悪心停止に至ります(2017年13名、2016年19名が亡くなっています)。

一回ハチに刺されるとその毒液で体内に蜂毒の抗体ができるので、2回目に刺された場合ハチ毒アレルギーが発症するリスクが高まると言われています。オーマイガッ!
私の記憶の限りでは、子ども時代から71歳の今まで、蜂に刺されたことはなかったです。

林業従事者、電気工事従事者にハチ毒アレルギー体質が多く、アナフィラキシー症状を起こすリスクが高いと言われています(山梨大学・アレルギーセンター)。

私の場合、2日間にファイザーmRNAコロナワクチンとスズメバチの蜂毒のミックスで打っているためどんな抗体が出来上がったのでしょうか。最強やな。
ハチ毒によるIgE抗体よ、コロナウィルスオミクロン株BA.5を駆逐してくれ!
いや、待てよ、今や私はコロナごときでは重症化はしないと思う、ならば、ファイザーが頑張って、ハチ毒抗体を撃破して欲しいぞ。

エピペン(アドレナリン自己注射薬)

アナフィラキシーショックが現れた場合は一刻を要する救命処置が必要になりますが、山奥などの場合は医療機関への搬送に時間がかかります。その場合は、事前にアドレナリン自己注射薬「エピペン」を処方されていれば、本人または保護者により太もも前部にアドレナリン注射することは緊急避難的に使用する即効性のある有効性のある治療法です。これは事前に登録された医師により処方され、処方された患者も登録が必要です。

このエピペンは当初はハチ毒に対するものでしたが、その後食物アレルギー、薬物アレルギーにも適応が拡大されています。また、林業関係者用としての時期は保険適用外でしたが、その後食物アレルギー対応としての需要が高まり、父兄からの保険適用を望む声が強まり、現在は保険適用となっています。
薬剤の有効期間は1年でほぼ3、4千円くらいらしいです。ただ処方できる医師が少なく、山梨県で28医療機関、うち北杜市は1件のみ、長坂の「いいづかこどもとおとなのクリニック」でした。アレルギー科のようです。 他の医療機関を調べる場合はこちらのサイト内の医療施設検索で→「アナフィラキシーってなあに.jp

(番外編)食物アレルギーでも、、、

 以前、学校給食で児童がアレルギーで死亡したニュース(2012年12月)を思い出し、アナフィラキシーの怖さを感じています。今は小学校にエピペンは置いてあるのでしょうか?
 文科省の「学校給食における食物アレルギー対応指針」(平成27年3月)によると、エピペンは該当する児童が持参するようになっているみたいです。
一応全職員にエピペン取扱(実技研修)を含む食物アレルギー対応研修会を実施するとなっています。
しかし実態は、研修を実施した学校は51%で、しかもその対象は主に養護教諭と栄養教諭だったそうで、学級担任への研修はそのうちの14%でした(文科省HP・「学校給食における食物アレルギーを有する児童生徒への対応調査結果速報」(2013年12月)。大丈夫かな?

(2024年6月22日 追記)

巣は作らせないという強い決意

 山小屋の屋根の破風(はふ)の塗装が北側を除いてほぼ終わってホッと一息しているとき、駐車場をうろうろ、ブンブンと飛び回っている蜂に気づきました。
かなり大きい3cmほどのスズメバチのようです。
「やばっ!」
ずいぶん前から、我が駐車場の古い枕木にいくつも空いている穴を旋回しては、時折、中に潜っては出て行きます。
「うーん、さては巣作りの穴を探しているな」

確かに6月に入ると、女王蜂と思しき巨大な蜂が単独でウロウロするのを見かけるようになりました。
まずい、またこの駐車場に巣をつくらせてはならない。
あの悲劇は繰り返さないぞ。

まして2年前に刺された林住管理人は、抗体ができているので、また刺されたらアナフィラキシー・ショックで、うっちんじまうだょう。
エピペンは持ってないし。
ハチ用の殺虫スプレーはまだ買ってないし。

そうだ、まだ働きバチ軍団は生まれてないので、集団で襲われる心配はない。
女王蜂単独ならばこちらにも勝ち目はある、と思い、お得意の竹ぼうきを持ち出しました。
そして新居を探して、ある穴に入ったスズメバチを待ち受けます。
30秒ほどで顔を出して飛び上がった瞬間、ホウキでバサっと一撃。
勝負はありました。
ただ死体が見つかりません。
しばらく周囲や、ホウキの先などを探しました。
もう一度、こわごわ穴の中を覗くと、いました。

この写真では黄色の縞がはっきりしませんが、飛んでる時は紛れもなくスズメバチでした。
恐ろしいお顔も、正面から見ることができないので、この写真では確認できませんが、こいつです。
(2024/6/22 15:23)

まだ羽が動いているので、息があるようでした。
これもまずいので、上から葉っぱを掛けて、棒で潰して成仏させてあげました。ナンマイダ。

この時期ならスズメバチもまだ駆除可能です。
7月に入って巣を作られてしまうと戦いは困難となります。
私も学習しました。
まだまだ気は抜けません。注意深く観察を続けて行きます。

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